生前のやなせたかしが遺した言葉を振り返ると、彼が描くキャラクターにはすべて「弱さを抱えた者が他者のために動く尊さ」が込められていた。ちびぞうくんも例外ではない。力持ちのゾウでありながら体が小さく、時には失敗して泣き出してしまう彼が、誰かを助けるために小さな勇気を振り絞る。この構図は、やなせが戦後日本の児童文学に刻み込もうとした哲学そのものだ。
単なる勧善懲悪の枠に収まらず、キャラクター一人ひとりの生活や心の成長を丁寧にすくい取る姿勢は、現在のエピソード群にも脈々と受け継がれている。だからこそ、時代が移り変わってもその輝きは色褪せず、親子何代にもわたって語り継がれるマスターピースとなっている。