成宮寛貴さんにまつわるセクシャリティの噂が日本中に拡散された最大の契機は、2016年12月2日発売の写真週刊誌『FRIDAY(フライデー)』によるスクープ報道でした。同誌は「コカイン吸引疑惑」と銘打ち、自宅とされる室内で撮影された写真や、友人との生々しい会話音声を掲載。芸能界に激震を走らせました。
しかし、この報道の陰でより深刻な爪痕を残したのが、成宮さんの性的指向に関する極めてプライベートな領域の暴露でした。報道各社の取材や当時の所属事務所の発表によると、成宮さん側は尿鑑定を実施して薬物使用の事実関係を完全否定。法的措置も辞さない強硬姿勢を示していました。ところが、そのわずか1週間後の12月9日、事態は誰もが予想しなかった「電撃引退」という形で幕を閉じます。
その際、メディア各社へ送られた成宮寛貴さんの直筆コメントには、芸能界の闇に追い詰められた表現者の悲痛な叫びが刻まれていました。
「全ての原因を作ったのは自分自身だと承知しております。心から信頼していた友人に裏切られ複数の人達が仕掛けた罠に落ちてしまいました」
「仕事に関係する方々や身内に対して、これ以上の迷惑を掛ける訳にはいかない。そして絶対に知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされてしまい、このまま間違った情報が拡がり続けることに言葉では言い表せないような不安と恐怖と絶望感に押しつぶされそう」
「今すぐこの芸能界から消え去りたい」
自らの言葉で綴られた「セクシャリティな部分」という記述は、彼にとって公表する意思のなかった個人的アイデンティティが、本人の望まない形で消費された事実を明確に物語っています。つまり、成宮寛貴カミングアウトと呼称される現象の実態は、自主的な公表ではなく、メディアと裏切りによって強制的に晒された「アウティング被害」であったと言えます。