福島市西部の山道、磐梯吾妻スカイラインの入口近くに位置する高湯温泉は、江戸時代初期の慶長12年(1607年)に開湯したと伝えられています。その歴史とともに歩んできた旅館玉子湯が、4世紀以上もの長きにわたり多くの人々を惹きつけて離さない最大の要因は、一切の妥協を排した湯守の姿勢にあります。
湧き出る湯は、湧出地から空気に触れることなく、自然の高低差を利用した木樋などを通じて各浴槽へと注がれます。成分総計や温度の調整を機械や人為で行わず、源泉かけ流し 白濁硫黄泉を完全な純度で守り抜く方針は、全国でも類を見ない水準です。湯口から注がれる青みがかった白濁湯からは、ほのかにゆで卵を思わせる独特の硫黄臭が立ち込めます。「玉子湯」という屋号の由来も、温泉の香りがゆで卵に似ていること、そして入浴後の肌がむきたての卵のように滑らかになることから名付けられたと地元史料に記録されています。
pH値約2.7の酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩泉という泉質は、角質を柔軟にし、肌の殺菌や血行促進に抜群の働きを見せます。単なる観光地のホテルとは一線を画し、かつて全国の湯治客が長逗留した原点の姿が、そのままの熱量で息づいている事実こそが、今なお絶賛される決定的な理由です。