座標平面上で3点の座標から三角形の面積を求める方法として、受験指導の現場で長年重宝されてきたのが「三角形面積座標裏ワザ公式」です。教科書の発展事項やコラムで目にしたことがある方も多いはずですが、その真価を極限まで引き出す鍵は「原点への平行移動」にあります。
まず、頂点のうち1つが原点 $O(0, 0)$ にあるケースを考えます。残る2頂点を $A(x_1, y_1)$、$B(x_2, y_2)$ と置いたとき、三角形 $OAB$ の面積 $S$ は次の極めて簡潔な式で算出できます。
$S = \frac{1}{2} |x_1 y_2 - x_2 y_1|$
操作は「外側同士の積から内側同士の積を引き、絶対値をつけて2で割る」だけです。いわゆる「たすき掛けの公式座標」計算であり、煩雑な三角形の高さ計算は一切発生しません。
では、3点とも原点にない一般の座標、例えば $P(2, 3)$, $Q(6, 5)$, $R(3, 8)$ のような配置ではどう処理すべきでしょうか。ここで真価を発揮するのが「原点平行移動三角形面積裏解法」です。
図形全体をどれだけ平行移動しても、その面積は不変です。したがって、扱いやすい1点を原点 $(0, 0)$ へスライドさせ、残りの2点にも全く同じ平行移動を適用します。
点 $P(2, 3)$ を原点 $(0, 0)$ に移す場合、$x$ 座標から $2$、$y$ 座標から $3$ を引くことになります。同様に他の2点を移動させます。
・$P(2, 3) \rightarrow O'(0, 0)$
・$Q(6, 5) \rightarrow Q'(6-2, 5-3) = (4, 2)$
・$R(3, 8) \rightarrow R'(3-2, 8-3) = (1, 5)$
こうして得られた新たな2点 $Q'(4, 2)$ と $R'(1, 5)$ に対し、先ほどの公式を適用します。
$S = \frac{1}{2} |4 \times 5 - 2 \times 1| = \frac{1}{2} |20 - 2| = \frac{1}{2} \times 18 = 9$
わずか3行の暗算レベルの計算で、面積「9」が導き出されました。中学幾何のように大きな長方形で囲んで周囲の余分な直角三角形を3つ引き算する手間と比較すれば、所要時間も計算ミスのリスクも劇的に圧縮されます。