野外で襲来を受けた際、最初に見極めるべきは対象が「アブ」なのか「ブヨ」なのかという点です。両者は同じ双翅目(ハエ目)に属するものの、外見サイズ、活動時間帯、そして生息環境に明確な差異が存在します。
まずアブ(虻・Tabanidae)は、体長がおよそ15〜30ミリメートルと大きく、黄色と黒の縞模様などハチや大型のハエに似た姿をしています。飛行速度が非常に速く、車の排気ガスや人間の体温、二酸化炭素に強く誘引される性質を持ちます。活動のピークは7月中旬から9月の盛夏であり、日中の日差しが強い時間帯や水辺周辺をホバリングしながら単独または数匹で標的に突進してきます。
対するブヨ(ブユ・蚋・Simuliidae)は、体長わずか2〜5ミリメートル程度の微小な昆虫で、一見するとコバエやショウジョウバエと見分けがつきません。幼虫期を極めて清澄な渓流で過ごすため、名水と呼ばれる清流や山間部のキャンプ場に局地的に大量発生します。アブブヨ発生時期季節の観点では、ブヨは3月から10月下旬まで極めて長い期間活動し、特に気温が下がる朝夕のマズメ時や曇天・雨上がりの多湿な時間帯に集団で足元へ忍び寄ります。