浅野忠信が芸能界入りを果たしたのは1988年、当時14歳のときでした。父親(後に芸能事務所を設立する佐藤幸久氏)からの勧めをきっかけにオーディションを受け、国民的ドラマ『3年B組金八先生』(第3シリーズ)の生徒・東正広役として俳優デビューを飾ります。
しかし、本人は当時のインタビューや自著で「当時は音楽やバンド活動、スケートボードに夢中で、テレビドラマの現場には馴染めなかった」と率直に告白しています。いわゆる典型的なアイドル俳優やお茶の間の人気者を目指すレールに対し、強い違和感を抱いていた浅野は、1990年の映画『バタアシ金魚』(松岡錠司監督)への出演を機に、自らの表現の主戦場を「映画」へと明確に定めていきました。
メインストリームのテレビドラマに固執せず、表現の自由度が高いインディペンデント映画へ身を投じた決断こそが、後の「映画俳優・浅野忠信」の孤高のキャリアを形作る決定打となったのです。