フランス語の「charcuterie(シャルキュトリー)」は、古フランス語の「chair(肉)」と「cuit(火を通した・調理した)」が組み合わさって生まれた言葉です。現代では非加熱の生ハムや乾燥熟成させたサラミも含みますが、本来は「調理された食肉加工品全般」を指す名詞として成立しました。
その起源は古代ローマ時代にまで遡ります。冷蔵設備が存在しなかった中世ヨーロッパにおいて、晩秋に屠畜した豚肉を長い冬の保存食へと変える塩漬け、乾燥、燻製、加熱油脂漬けなどの技術が発展しました。内臓、耳、皮、血に至るまで、文字通り「豚は鳴き声以外すべて食べ尽くす」という徹底した合理精神が、シャルキュトリーという分厚い食文化の礎となっています。
フランスにおいて、シャルキュトリーを語る上で欠かせない存在が「シャルキュティエ(charcutier)」と呼ばれる専門職人です。フランスでは1476年、ルイ11世の治世下においてシャルキュティエの同業者組合(ギルド)が正式に認可されました。生肉のみを販売する精肉店(boucherie)と、加工調理した肉を販売するシャルキュティエは法的に厳格に区分されており、独自の国家資格(CAPなど)を持つ職人が今日に至るまでその伝統製法を守り継いでいます。