インターネット上の情報で最も注意すべきは、「ハラール対応=ムスリムにとって100%安全」という過度の一般化です。現場を取材すると、知られざる2つの盲点が存在します。
第1の盲点は、「調理器具と揚げ油のコンタミネーション(交差汚染)」です。ネパール料理には、肉料理以外にも野菜の天ぷら「パコラ」やサモサなどの揚げ物が多く存在します。一部の店舗では、昼間に通常メニューを揚げた油と同じフライヤーで、夜間にハラール用スナックを調理している実態があります。宗教的に極めて厳格な戒律を守る方にとっては、油の共有すら許容されないケースがあるため、気になる場合は「揚げ油やフライパンは専用かどうか」を事前に確認することが欠かせません。
第2の盲点は、「アルコールとの物理的共存」です。ネパール系レストランの収益構造において、酒類の販売は重要な利益源です。そのため、料理自体はハラール肉を使用していても、同じフロアで生ビールやククリラムが盛大に消費されている店舗が大多数を占めます。イスラム法においてアルコールが視界に入る環境や、同一空間での飲食を忌避する敬虔なムスリムをアテンドする場合、「料理がハラールだから大丈夫」と案内するとトラブルに発展しかねません。事前のすり合わせが決定的な明暗を分けることになります。