街路樹の定番プラタナスが激減した真相!伐採急増の理由と現在の姿

街路樹の定番プラタナスが激減した真相!伐採急増の理由と現在の姿

今注目を集めている 街路樹の定番プラタナスが激減した真相!伐採急増の理由と現在の姿について、主要な情報を整理して公開しています。

高度経済成長期、日本の大都市は急速なモータリゼーションと工場排煙による深刻な大気汚染に見舞われていました。その過酷な環境下で白羽の矢が立ったのがプラタナスです。煤煙や二酸化窒素への耐性が極めて高く、萌芽力(枝を切られても再び芽吹く力)が圧倒的だったため、全国の自治体がこぞって道路沿いへ植樹しました。国土交通省の道路緑化樹木調査などを振り返ると、かつてはイチョウやサクラと並ぶ街路樹の主役として全国数万本規模で君臨していた記録が残っています。

ところがプラタナスの木の現在の状況を俯瞰すると、その勢力図は完全に失速しています。各地の道路管理者や造園業者の報告書が示す、街路樹から激減した背景には4つの構造的要因が存在します。

第一の要因は、歩道を持ち上げる「根上がり」被害の深刻化です。プラタナスは成長速度が極めて早く、根が浅く横に大きく広がる特性を持ちます。植樹から30〜50年が経過した現在、巨大化した根がアスファルトや縁石を押し上げ、車椅子やベビーカー、高齢者の歩行を妨げる段差を生み出しました。バリアフリー化が絶対命題となった現代の道路行政において、この物理的破壊は看過できない危険要素となったのです。

第二に、維持管理費用の高騰と自治体の財政圧迫が挙げられます。樹高が20〜30メートル、幹回りが数メートルに達する巨木を維持するには、高所作業車を用いた大規模な剪定が毎年欠かせません。加えて秋から冬にかけて降り積もる大量の巨大な落ち葉は、雨水枡(集水桝)を詰まらせて道路冠水を招く原因となり、清掃を巡る住民からの苦情が激増しました。財政難と少子高齢化に直面する自治体にとって、維持費のかかる巨木を維持し続ける余力はもはや残されていません。

第三に、台風による倒木事故のリスクです。後述するように、道路標識や電線を避けるために長年行われてきた乱暴な強剪定が幹の内部腐朽を招き、強風で根元から倒伏する事故が多発しました。国土交通省や各地方自治体が主導する「街路樹再生方針」に基づき、倒木リスクの高い老木から優先的に伐採され、より樹高が低く管理しやすいハナミズキやヤマボウシ、あるいは根が深く倒れにくい樹種への転換が進められています。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。