一般的に「イカの足」と呼ばれている部位は、生物学上の分類では「腕(cephalopod arms)」と定義されています。イカやタコは軟体動物門の「頭足類(とうそくるい)」というグループに属しており、その名の通り「頭から直接腕が生えている」特異な体構造を持っています。
解剖学的な見地から体を観察すると、私たちが普段「頭」と呼んで食べている三角形のエンペラ(ヒレ)がある部分は実は胴体(内臓が入っている外套膜)にあたります。その下に目や脳が存在する本当の「頭部」があり、口を取り囲むようにして生えているのが10本の腕です。
人間でいえば頭頂部から腕が伸びているような配置であり、海底を歩行するよりも遊泳や捕食、交接といった手先のような精密な動作に使われるため、研究者の間では「腕」と呼ぶのが完全な標準となっています。