中村梅雀のもう一つの顔、それが「超一流のベーシスト」としての姿です。「俳優の道楽」「有名人の余技」という先入観を持って彼の演奏を聴いた音楽ファンは、誰もが一様に驚愕します。
中学時代にベースを手に取って以来、キャリアは半世紀を超えます。伝説的ジャズ・フュージョンバンド「ウェザー・リポート」の天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスに心酔し、フレットレスベースを自在に操るそのテクニックは、国内のプロミュージシャン界隈でも極めて高く評価されています。
都内の名門ライブハウス「Blues Alley Japan」や「Billboard Live」などで定期的に開催されるリーダーライブには、元カシオペアの櫻井哲夫や野呂一生など、日本を代表するトップジャズ・フュージョン奏者たちが集結します。難解な変拍子や高速スラップ、歌うような美しいトーンのソロワークを難なく弾きこなす姿は、まさに生粋のミュージシャンです。
機材への造詣も凄まじく、ヴィンテージのフェンダー・ジャズベースや、最高峰ハイエンドベースとして知られる「Ken Smith(ケン・スミス)」を多数コレクション。専門誌『ベース・マガジン』で表紙を飾り、特集が組まれるほどのオーソリティでもあります。梅雀本人は過去に「音楽のリズム感やグルーヴは、芝居のセリフの間合(まあ)いと完全に直結している」と語っており、音楽への探求が俳優業の深みを生み出す好循環を作り出しています。