神保町の路地裏を象徴する存在といえば、赤い公衆電話と山小屋風の外観が目を引く「さぼうる」を外すわけにはいかない。扉を開けると、そこはまるで地下洞窟のような不思議な小空間。壁一面に刻まれた訪問者たちの歴史と、看板メニューである色鮮やかなクリームソーダが、日常の喧騒を瞬時に忘れさせてくれる。
そこから目と鼻の先にある「喫茶ラドリオ」は、日本で初めてウインナーコーヒーを提供したとされる歴史的銘店だ。レンガ造りの静かな店内では、自家焙煎コーヒーの上に贅沢に浮かぶ生クリームが、ほろ苦い液体と絶妙なハーモニーを奏でる。暗がりのなかで静かにジャズの音色が流れるこの場所は、まさに読書に没頭するために作られた隠れ家と言っても過言ではない。