「卸センターという名前だから、業者登録や会員証がないと入れないのではないか」という懸念を持つ方は少なくありません。結論から言えば、株式会社横浜野本直営店であるビーフセンターは、誰でも自由に店内へ入って1パックから購入できるオープンな一般小売店舗です。ガラスケースの向こうで職人が巨大な肉塊を切り分けている光景はまさに精肉工場そのものですが、レジを抜ければそこは一般の買い物客で活気にあふれる直売スペースとなっています。
取材によって浮き彫りになった横浜野本肉が安い理由は、極めて論理的かつ構造的なものです。第一の要因は、創業35年以上の歴史に裏打ちされた黒毛和牛一頭買い直売の仕組みにあります。通常の精肉小売店は中間問屋や加工業者を経由して部位ごとに仕入れるため、その都度マージンと輸送コストが上乗せされます。しかし同社では、自社の食肉加工センター内で骨抜き・解体・整形・スライスまでを一貫して完結させています。中間流通コストを極限まで削ぎ落とし、そのマージンを購入者へ価格として還元しているのです。
さらに、一頭丸ごと仕入れることで、サーロインやヒレといった花形部位だけでなく、ウチモモ、ランプ、ミスジ、さらには新鮮なホルモン類まで余すところなく製品化できる強みがあります。有名ホテルや高級料理店に出荷される規格外の端材や切り落としが、超一級品の鮮度を保ったまま直売コーナーへ並ぶため、百貨店なら100gあたり2,000円を超えるようなA4〜A5ランクの牛肉が、半額近い水準で手に入る構造が完成しています。