猗窩座の人間時代の名前は「狛治(はくじ)」といいます。江戸時代、貧しい長屋で病気の父親と二人暮らしをしていた狛治は、父の薬代を稼ぐために幼くして盗みを繰り返していました。しかし、罪を重ねる息子を苦にした父親は首を吊って自死。「真っ当に生きろ」という遺言を残された狛治は絶望し、荒れ狂って喧嘩に明け暮れる日々を送るようになります。
そんな彼を力ずくで止め、導いたのが「素流(そりゅう)」武術の道場主・慶蔵(けいぞう)でした。慶蔵は荒れる狛治を道場へ連れ帰り、病弱で寝たきりの一人娘・恋雪の看病を任せます。最初こそ戸惑った狛治でしたが、かつて父親を看病していた経験を活かし、昼夜を問わず献身的に恋雪を介抱しました。
狛治の温かい看病によって恋雪の体調は次第に回復し、いつしか2人の間には強い信頼と愛情が芽生えていきます。荒みきっていた狛治の心も、慶蔵の武術の教えと恋雪の純粋な笑顔によって救われていきました。