1995年、絶頂期に宝塚を去った天海祐希。退団直後の彼女に突きつけられたのは、「宝塚の男役っぽさが抜けない」という周囲の冷ややかな目だった。舞台の上で完結していた美学を脱ぎ捨て、生身の女性としての熱量や生々しさをスクリーンに注ぎ込む作業は、平坦な道ではなかった。
彼女が選んだのは、保身ではなく自らの表現領域を広げる冒険だった。美しき男役としての面影をあえて打ち消すかのように、官能的なシーンを伴う複雑な感情表現に身を投じた。その決断が、スクリーン上で彼女を「一人の本物のアクター」へと昇華させたのだ。