日本のB級コメディは、欧米的なド派手アクションとは一線を画す「シュールな間」や「地方・文化の自虐パロディ」に独自の進化を遂げています。
全国的な社会現象となった『翔んで埼玉』シリーズは、徹底した地方ディスと宝塚歌劇を彷彿とさせるゴージャスな世界観を融合させ、B級の題材を超大作の座へと押し上げた好例です。真面目にふざけ倒す俳優陣の熱演が、荒唐無稽な設定に圧倒的な説得力を与えました。
インディーズ映画界から奇跡的な大ヒットを記録した『カメラを止めるな!』(2017年)も、構造としてはB級ゾンビ映画のメイキングという体裁を取った究極のシチュエーション・コメディです。前半のチープな映像に隠された緻密な伏線が、後半怒涛の勢いで回収される快感は、映画を愛するすべての人に笑いと感動を届けました。
さらにカルト的な邦画として語り継がれるのが、河崎実監督による『いかレスラー』(2004年)や『ヅラ刑事』(2006年)などの異色作群です。CG全盛期にあえて着ぐるみやストレートなダジャレ設定で勝負する姿勢は、日本ならではの愛すべき珍作文化を体現しています。