小林ゆうが進撃の巨人で演じたサシャ・ブラウスは、作品全体に漂う重苦しい絶望の中で、読者と視聴者にとって唯一の救いとなる存在でした。登場初期の「蒸かした芋を盗み食いして教官に弁解するシーン」で見せた間の抜けたトーンから、森の中で弓矢を手に巨人と対峙し、幼い子どもを守るために叫ぶシリアスな演技への跳躍。この生々しい感情のグラデーションは、多くのファンの胸を締め付けました。
特番インタビューや当時の声優陣の回顧録によると、サシャが命を落とすエピソードの収録現場では、ブース内全体が静まり返るほどの気迫が満ちていたと証言されています。ただのギャグキャラクターに終わらせず、生きることへの執着と素朴な愛を声に乗せ続けたからこそ、彼女の最期は作品屈指の悲哀として世界中の視聴者の記憶に深く刻まれました。
一方で、小林ゆうが銀魂の猿飛あやめで見せたパフォーマンスは、ある種の「声優芸」の極致です。主人公の坂田銀時に対する執拗なストーカー行為、自虐的な歓喜を叫ぶドMシーンの突き抜けた怪演は、放送事故寸前と騒がれるほどのテンションを誇りました。
しかし、さっちゃんの真骨頂はギャグの裏にある「暗殺者としての冷徹さ」と「銀時を本気で案じる切ない乙女心」です。将軍暗殺篇で見せた命がけの戦いでは、普段の奇声を一切封印し、低く引き締まったクールな声で仲間を守る覚悟を表現しました。狂気的な笑いから胸を打つシリアスへ一瞬で移行する瞬発力は、小林ゆうの声優としての演技力と評判を決定づけた決定的な証左です。