韓国で彼は「シン・チャング」の名で親しまれている。タイトルは『짱구는 못말려(チャングヌン モッマルリョ)』——日本語に直訳すれば「チャングは止められない」だ。「チャング」とは韓国語で出っ張った額(おでこ)を指す言葉であり、いたずらっ子の愛称としても響く。
熱狂の中心にいるのは、子どもたちだけではない。20代から30代のMZ世代がブームを牽引している。学歴社会や就職難、息の詰まる人間関係に疲弊した韓国の若者にとって、空気を読まず、本能のままに生き、それでいて家族や仲間を絶対に裏切らない野原しんのすけ(シン・チャング)の姿は、究極の解放感をもたらす。あるソウル市内の大学生は「チャングを見ている時間だけは、誰からも評価されずに済む」と語った。自由奔放な彼の言動は、現代韓国の若者が心の奥底で渇望している「ありのままの生」そのものなのだ。