国宝・風神雷神図屏風の謎!宗達と光琳の違いと視線の仕掛け

国宝・風神雷神図屏風の謎!宗達と光琳の違いと視線の仕掛け

国宝・風神雷神図屏風の謎!宗達と光琳の違いと視線の仕掛けの概要と注目ポイントをわかりやすく整理しました。

『風神雷神図屏風』を前にした鑑賞者が、無意識のうちに覚える落ち着かない胸騒ぎ。その最大の要因は、「風神と雷神の視線が一切合っていない」という構図の仕掛けにあります。右隻の雷神は左下を睨みつけ、左隻の風神はさらにその下方を睥睨しており、両者の視線は虚空ですれ違っています。

通説では、二神が戦い合っているのではなく、雲に乗って天空を疾走している一瞬を切り取ったためと説明されます。しかし、美術史家や研究者の現場検証によって、より構造的な企図が指摘されています。宗達が意図したのは、屏風の前に立つ人間、すなわち「下界で怯える現世の人々を天界から見下ろす視線」の構築でした。

さらに見逃せないのが、風神雷神の左右配置の真相です。仏教絵画や京都・三十三間堂の国宝彫刻(鎌倉時代)では、原則として「向かって右に風神、向かって左に雷神」と配置されるのが伝統的な規範でした。ところが宗達は、この千年の約束事を大胆に覆し、右に雷神、左に風神を配したのです。

赤白い肌で太鼓を打ち鳴らす動的な雷神を右上に、緑の肌で風袋を抱え疾走する風神を左端に配することで、視線が右から左へと流れる日本の絵巻的ダイナミズムを屏風空間に見事に現出させました。中央に広がる広大な金箔の虚空は、単なる背景ではなく、二神の爆発的なエネルギーがぶつかり合う「見えない大気」そのものとして機能しています。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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