演出を担当した久世光彦の真骨頂は、通常のドラマ制作の常識を覆す過激な実験精神にありました。その最たる例が、全編または一部をスタジオやロケ地から直接届ける「生放送ドラマ回」です。
NGが許されない生放送中にもかかわらず、キャスト陣は平然とアドリブを連発。セリフを忘れた共演者をからかったり、セットの裏側やスタッフが画面に映り込んだりと、ハプニングそのものをエンターテインメントへと昇華させました。時には視聴者からの生電話をその場で受けたり、他局の有名人がアポなしでゲスト乱入したりと、まさに「何が起こるかわからない」生きたテレビの熱量を全国に届けたのです。
「ドラマは作り物である」という枠組みを逆手に取り、第四の壁を壊して視聴者を巻き込む久世の演出スタイルは、後進のクリエイターたちにも決定的な影響を与えました。