世間では「メディアが仕掛けた単なる一過性のイケオジ流行」と捉えられがちですが、この現象の本質は日本の映像制作システムにおける構造改革にあります。
かつてのテレビドラマ界は、若手アイドルやモデル出身者を主役に据え、トレンディな恋愛劇で世帯視聴率を競うのが主流でした。しかし、動画配信プラットフォームの普及に伴い、視聴者は「設定の甘い学園モノや恋愛モノ」よりも「緻密に構築されたサスペンス、骨太な社会派ドラマ、上質なヒューマンドラマ」を求めるようになりました。
この変化により、「顔立ちの良さだけで台詞を棒読みする演者」は瞬時にふるい落とされ、確かな基礎演技力を持つ中堅・ベテランでなければ画面が持たない時代へと突入したのです。脇役として下積みを支えてきたバイプレイヤーたちが主役に抜擢されたり、重要なキーマンとして海外配信作にキャスティングされたりしているのは、ブームではなく「実力主義への回帰」という必然の結果です。