小売業や流通業界における「見切り品」とは、賞味期限・消費期限の接近、過剰在庫、パッケージの微細なキズ、あるいは季節の入れ替わりなどを理由に、通常価格から値引きして販売される商品を指します。かつてはネガティブなイメージを持たれることもありましたが、現在では家計防衛と持続可能な社会形成の双方において肯定的な評価が定着しています。
店舗が「見切り販売」を行う3大理由
スーパーやコンビニエンスストアが見切り販売を実施する背景には、シビアな店舗経営の力学が存在します。
- 廃棄コストの抑制と粗利の確保:生鮮食品や惣菜は廃棄処分すると仕入れ原価がそのまま100%の損失となります。原価割れに近い価格であっても販売できれば、廃棄費用(産業廃棄物処理委託費)を浮かせつつ、一定の売上を回収できます。
- 食品ロス削減と企業価値向上:農林水産省や環境省が推進する食品ロス削減の取り組みに呼応し、売れ残りを出さない店舗オペレーションは企業の社会的責任(CSR)およびESG評価に直結します。
- 店舗の回転率向上と来店動機の創出:「夕方に行けばお得な商品がある」という期待感が顧客の定期的な来店動機を生み出し、定価販売されている他の日用品の併せ買いを誘発します。
現場データから見る「見切り品」割引のタイミング
大手スーパーの売り場オペレーションを取材すると、値引きシールの貼付には一定の規則性が存在することが分かります。
- 第1段階(開店直後〜午前中):前日からのキャリー品や、当日の消費期限が迫った日配品(パン・牛乳・豆腐など)に10%〜20%引きのシールを貼付。
- 第2段階(16:00〜18:00頃):夕方の買い物ピークに合わせ、精肉・鮮魚や当日製造の惣菜に20%〜30%引きを実施。
- 第3段階(19:30〜閉店前1時間):当日の完全売り切りを目指し、惣菜や生鮮品の割引率を半額(50%引き)へ引き上げ。