厚生労働省が公表した最新の就労条件総合調査データ(2026年版動向分析)によると、退職金制度を導入していない企業の割合は全体で約2割に達しており、企業規模が小さくなるほどその割合は著しく跳ね上がる。大企業では8割以上が何らかの給付制度を堅持している一方で、従業員30人〜90人規模の中小企業では、およそ3社に1社が自社内に退職給付の枠組みを持たないという酷な格差が如実に表れている。
特に業界ごとの構造的偏りは顕著だ。飲食・サービス業や建設業、あるいは流動性の高さが際立つIT・スタートアップ業界では、年俸制の採用や労働力の流動化を理由に、伝統的な退職給付を設けない企業が多数派を占める。IT・スタートアップ業界などでは「高い給与水準やストックオプションで還元する」という名目を掲げる企業も多いが、実際の運用では個人のパフォーマンスや事業の成否に大きく依存するため、全社員が確実な老後資産を確保できる保証にはなり得ないという落とし穴がある。