体に良いとされる納豆でなぜムカムカとした不快感が生じるのか。臨床現場のデータやアレルギー専門医の報告を総合すると、原因は大きく分けて「免疫反応(アレルギー)」「化学物質(ヒスタミン)」「微生物の活動(納豆菌と消化器への物理的負荷)」の3点に集約されます。
第一に挙げられるのが、大豆アレルギーと遅延型反応、そして納豆特有の成分に対する感作です。通常の大豆アレルギーであれば、豆腐や豆乳を口にした際にも違和感が生じますが、「納豆だけ異様に気持ち悪くなる」というケースでは、納豆のネバネバ成分であるポリガンマグルタミン酸アレルギーが疑われます。この疾患は一般的な即時型食物アレルギーとは異なり、食後すぐではなく5時間〜半日近く経過してから急激な吐き気や血圧低下、全身の蕁麻疹を引き起こすという極めて特殊な遅延型の臨床経過をたどる点が特徴です。
第二の要因は、ヒスタミン中毒の症状と原因に関わる問題です。納豆は発酵食品であるため、製造過程や保存状態によってアレルギー様症状を引き起こすヒスタミンが生成されます。もともと体内でヒスタミンを分解する酵素(ジアミン酸化酵素など)の活性が弱い体質の方や、胃腸の粘膜が疲弊している方が摂取すると、アレルギー検査で陰性であっても、食後15分〜1時間ほどで胃のムカムカ、頭痛、顔面の紅潮、吐き気といったヒスタミン不耐症の症状が現れます。
第三に、納豆菌による胃腸への刺激が挙げられます。納豆菌は非常に強靭な芽胞を形成し、胃酸に負けずに生きたまま腸まで届く強力なプロバイオティクスです。しかし、胃腸のバリア機能が低下している時や空腹時に摂取すると、その旺盛な活動性がかえって胃粘膜を刺激し、急激な胃酸分泌や胃壁の収縮を誘発して納豆後の吐き気と胃もたれを引き起こす場合があります。健康的な腸活のつもりが、弱っている胃腸には過度な負担となってしまう皮肉な構図が生じているのです。