鮭の蒸し焼きは、野菜と組み合わせることで真価を発揮します。鮭単体で蒸すよりも、野菜から染み出る自然な水分と糖分がスチームの質を高め、身の乾燥を物理的に防ぐ防壁となるためです。
その筆頭が鮭蒸し焼きキャベツフライパン調理です。ちぎったキャベツをフライパン全体に敷き詰め、その上に鮭を置いて酒を回し入れます。キャベツの持つグルタミン酸と鮭のイノシン酸が合わさり、調味料を控えても驚くほどの旨味が生み出されます。ここに味噌、みりん、砂糖、バターを合わせた特製だれを回しかければ、北海道の郷土料理である鮭ちゃんちゃん焼きフライパン仕立てが手軽に完成します。
秋から冬にかけて不動の人気を誇るのが、鮭きのこ蒸し焼きフライパンにバターを添えるレシピです。しめじ、舞茸、エリンギなどを鮭の周囲にふんだんに散らし、蒸し上がりの直前に有塩バターをひとかけ落とし、鍋肌から醤油を垂らします。この鮭蒸し焼きバター醤油の芳醇なアロマは、淡白になりがちな蒸し魚に重厚なコクを与え、ご飯のおかずとしてもお酒の肴としても抜群の完成度を誇ります。
対照的に、脂の乗った銀鮭やサーモントラウトをさっぱりと楽しみたい日には、鮭フライパン蒸し焼きポン酢仕立てが最適です。酒だけでふっくらと蒸し上げ、仕上げに小ねぎやすだち、大根おろしをたっぷりと乗せ、柑橘ポン酢を回しかけます。加熱によって余分な脂が適度に落ちた鮭に、キレのある酸味が調和し、夏場の食欲減退期でも箸が進む逸品となります。