移動手段としての安全性を論じる際、最も引き合いに出されるのが自動車との比較です。警察庁交通局の集計データによると、日本国内における交通事故死者数は年間2,500人台前後で推移しており、負傷者は約30万人に達します。これに対し、国土交通省 航空安全統計が示す国内主要航空会社の定期旅客便における乗客死亡事故は、2000年代以降「ゼロ」を記録し続けています。
輸送量あたりの危険度を正確に測定するため、「乗客1人が1億キロメートル移動した際の死亡リスク(死亡旅客数/人キロ)」で飛行機と車の事故確率比較を実施すると、両者には圧倒的な隔たりが浮き彫りになります。
海外の交通統計学者の報告でも「空港へ車で向かう道のりの方が、飛行機に乗って目的地へ向かう空の旅よりもはるかに危険である」というパラドックスが繰り返し証明されています。私たちが恐怖を感じる対象と、実際に命を脅かす統計的脅威の間には、強烈な認知のズレが存在しています。