リリース当時、世界中のゴシップメディアが騒然となったのが「チャーリーとセレーナは本当に付き合っていたのか?」という熱愛の噂でした。単なる音楽上のコラボレーションにとどまらない熱量が楽曲から滲み出ていた背景には、二人の実生活での生々しいドラマが存在していました。
沈黙を破ったのはチャーリー・プース本人でした。2018年の米ビルボード誌の独占カバーインタビューにおいて、チャーリーはセレーナとの間にあった関係性について次のように赤裸々に告白しています。
「あれは僕の人生において、非常に短く、しかし非常に強烈で、僕の精神をひどく狂わせた関係だった。(中略)はっきり言えば、彼女の頭の中にあったのは僕だけじゃなかったんだ。自分自身がそうした状況に巻き込まれていると分かっていながら、足を踏み入れてしまったんだと思う」
当時、セレーナ・ゴメスは長年にわたるジャスティン・ビーバーとのオン・オフ(いわゆる「ジェレーナ」の泥沼劇)の渦中にありました。チャーリーと親密になった2015年末から2016年初頭、セレーナの心には依然として元恋人ジャスティンへの巨大な感情の残滓が存在していたと報じられています。チャーリーにとってセレーナへの想いは本気であったものの、セレーナ側にとっては心の傷を癒やすための過渡的な存在、心理学でいう「リバウンド・リレーションシップ(失恋直後の埋め合わせの恋)」のニュアンスを含んでいたことは否定できません。
セレーナ自身は公の場でチャーリーとの恋愛を大々的に肯定することはせず、「才能ある良き友人」としてのスタンスを崩しませんでした。しかし、まさにこの「一方だけが深く傷つき、もう一方はどこか別の場所を見つめている」という実生活の埋まらない温度差こそが、『We Don't Talk Anymore』の痛切なリアリティへと直結したのです。