ネット上の簡易的な知恵袋や掲示板では、耳の違和感を訴える投稿に対して「耳掃除のしすぎによる外耳炎ではないか」「耳垢が詰まっているだけ」といった安易なアドバイスが散見されます。しかし、この自己判断による放置は取り返しのつかない事態を招くことがあります。
特に注意しなければならないのが、ストレス性難聴の初期症状や低音障害型感音難聴の原因と深く関わるケースです。患者自身は「耳が詰まって少し痛い」「耳の奥が圧迫されている」と感じているだけであっても、実際には内耳の内リンパ液が過剰に溜まる「内リンパ水腫」が進行している場合があります。
耳鼻咽喉科の臨床現場において、低音域の急性難聴は発症から72時間以内にステロイド薬や浸透圧利尿薬などの適切な薬物治療を開始できるかどうかが、予後(完治するか後遺症が残るか)の分かれ目となります。「単なる疲れやストレスだから、寝れば治るだろう」と過信して1〜2週間放置した結果、低音域の聞こえにくさや不快な耳鳴りが生涯固定化してしまう事例は後を絶ちません。単なる神経痛と自己診断せず、聞こえの違和感や耳閉感を伴う場合は、一刻を争う鑑別が必要です。