足の爪が剥がれかけた、あるいは完全に剥がれ落ちた直後の現場において、生死を分けるならぬ「爪の再生を分ける」のは最初の15分間の処置です。外傷を負った直後は激しい動揺から爪を引きちぎろうとする人がいますが、これは爪母(そうぼ)と呼ばれる爪の根本組織を不可逆的に破壊する最悪の選択肢となります。
アクシデント発生時の足の爪剥がれ応急処置は、以下の3ステップが基本となります。
ステップ1:水道水(流水)による異物の徹底洗浄
激しい出血があると慌てて消毒液を探しがちですが、第一選択は「水道水の流水」です。傷口に付着した砂、繊維くず、雑菌を優しく洗い流します。この際、傷口を強くこすってはいけません。石鹸の泡を手のひらで転がすように乗せ、ぬるま湯の流水で洗い流すだけで十分な除菌効果が得られます。
ステップ2:爪が残っている場合は「元の位置」に戻す
爪が半分繋がっている、あるいは完全に外れても手元にある場合、捨ててはいけません。爪は下部にある繊細な肉(爪床:そうしょう)を保護する「天然の被覆材」として機能します。元の爪床の上にそっと戻して覆いかぶせることで、乾燥を防ぎ、爪床の角質化(皮膚が固くなって爪が生えなくなる現象)を食い止めることができます。
ステップ3:清潔なガーゼとテープによる固定
足の爪剥がれテーピング固定法では、血流を阻害しない適度な圧迫が鍵を握ります。非固着性のガーゼ(傷口にくっつかないタイプ)やシリコンメッシュを爪の上に当て、医療用テープや伸縮包帯で指の根元に向かってクロスするように固定します。指先を締め付けすぎると鬱血して組織壊死を引き起こすため、爪先を押して赤みが戻る程度の締め付け具合を維持してください。
なお、爪が剥がれた時の消毒と軟膏の選択には注意が必要です。従来多用されてきた刺激の強い消毒液(アルコールやヨードチンキ)は、傷を治そうとする正常な細胞まで破壊し、治癒を遅らせます。現在は、水道水で洗った後に白色ワセリンや、医師から処方された抗生剤軟膏を薄く塗布し、湿潤環境を保つ治療法が標準となっています。