インターネットの掲示板やSNS上でまことしやかに囁かれる「大卒なら誰でも社会福祉主事を持っている」という噂。この言説が生まれた背景には、社会福祉法第19条に定められた「3科目主事」という任用資格の取得ルートが存在します。法律上、学校教育法に基づく大学(短期大学を含む)において、厚生労働大臣が指定する社会福祉に関する科目のうち、いずれか3科目以上を履修して卒業した者に、社会福祉主事の任用資格が認められています。
一般の文系学部、例えば法学部で「民法」「行政法」「社会政策」を履修していたり、経済学部で「経済学」「社会保障論」「統計学」を取得していたり、文学部や教育学部で「心理学」「教育学」「社会学」を学んでいた場合、本人が福祉職を全く意図していなくても、偶然にも指定科目の要件を満たしているケースが多々あります。この「福祉系学部卒でなくても該当者が大量に存在する」という事実が歪められて伝わり、「大卒なら誰でも持っている」という誤認が定着してしまったのが実情です。
理系学部出身者や、指定科目を2科目しか取っていなかった文系卒業生は、当然ながら資格要件を満たしていません。また、任用資格という言葉の通り、これは「特定の公務員職種や民間の相談員ポストに任命・任用されるための受託要件」を指します。弁護士や医師のような業務独占資格でもなければ、社会福祉士のような名称独占の国家試験合格証書でもありません。公務員や社会福祉施設で該当するポストに配属・採用されて初めて効力を発揮する身分要件である点を、まず正しく認識する必要があります。