漫画『脳外科医竹田くん』の元ネタとなった舞台は、兵庫県赤穂市が運営する公立病院「赤穂市民病院」です。2019年7月、同院の脳神経外科に採用された男性医師(以下、A医師)が着任したことから、凄惨な事態が幕を開けました。
公式の事故調査報告書や報道各社の取材データによると、A医師が着任してから手術禁止処分を受ける2020年2月までのわずか8カ月間に、関与した手術で8件もの医療事故が連続発生しました。カテーテル手術での血管損傷、腰椎手術での神経切断、ドリル巻き込みによる硬膜損傷など、基本的な手技の稚拙さに起因する重大事故が短期間に集中したのです。
最も深刻な被害を受けた70代女性患者の手術では、腰椎の一部を削る際に神経を完全に切断され、両下肢麻痺や排尿排便障害という重い後遺障害が残りました。外部調査委員会の報告書は、この手術について「基本的な解剖知識や手技が著しく欠如していた」と厳しく断罪しています。
漫画で描写された「血の海になる手術室」「指示を無視して暴走する執刀医」「カルテ改ざん疑惑」といったエピソードは、誇張ではなく当時の事故報告書や関係者の証言とほぼ完全に一致しており、読者に強い戦慄を与えました。