この巨塔の魅力は、単なる高さや数字のインパクトだけにとどまらない。足元の一辺が正三角形でありながら、頂上に向かうにつれて美しい円形へと変化する独特のフォルムには、日本の伝統美が息づいている。彫刻家・澄川喜一が提唱した日本刀の「反り(そり)」や神社仏閣の柱に見られる「起くり(むくり)」のエッセンスが、その優美な稜線に見事に結実した。
監修を務めた建築家・安藤忠雄の意匠設計思想と、それを具現化した日建設計の卓越した構造エンジニアリングは世界中から絶賛を浴びた。五重塔の心柱制振システムに着想を得た最先端の防災構造が、繊細な美しさと強固な安全性を完璧な次元で両立させている。タワーの足元に立ち、鉄骨が空へと交差していくダイナミズムを間近で見上げると、計算し尽くされた構造美に圧倒されるはずだ。