映画史に残る名演となった駒形由美役ですが、その舞台裏は過酷を極めていました。後に本人が自著やインタビューで明かしたところによると、撮影当時の高橋メアリージュンは国の指定難病である「潰瘍性大腸炎」を発症。激しい腹痛や下血、貧血に苦しめられながらのロケ参加という、極限状態での撮影でした。
アクション映画の現場特有の過酷な寒暖差や長時間の拘束、重厚な和装の締め付けに耐えながら、彼女は現場で一切弱音を吐くことなくカメラの前に立ち続けました。当時のインタビューにおいて本人は「病気であることを理由に甘えたくない」「この役を誰にも渡したくない」という強烈なプロ意識を語っており、まさに命を削って役を創り上げていた事実が窺えます。
さらに、志々雄真実役を務めた藤原竜也との共演は、彼女の役者魂を一層研ぎ澄ませました。全身を特殊メイクの包帯で覆われ、視界や呼吸が制限された過酷な条件下でも圧倒的な熱量と狂気を放ち続ける藤原竜也の演技を間近で受け止め、彼女は由美としての献身と狂信的な愛情を極限まで引き出していきました。包帯越しに伝わる志々雄の孤独と狂気を受け止められるのは由美しかいないという説得力は、二人の役者が現場で生み出した凄まじい緊張感から生まれたものです。