初期化を巡っては、過去の古い常識に基づいた誤解がネット上に散見されます。セキュリティと効率の両面から、正確な事実を整理しておきましょう。
誤解①:「ディスクをゼロ書き込み(複数回上書き)しないとデータが復元される」
かつてのHDD時代には「Gutmann方式」などの多重上書き消去が推奨されていましたが、現代のSSDおよびApple Silicon環境では不要です。Macの内蔵ストレージは「FileVault」をはじめとする強固なハードウェア暗号化(AES-256)で保護されています。「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行した瞬間に復号鍵そのものが物理的に抹消されるため、専門のデータ復旧業者であってもデータを取り出すことは不可能です。無駄な上書き作業はSSDの寿命を縮めるだけとなります。
誤解②:「インターネットを切断した状態で初期化すれば安全」
これは最も危険な誤解です。オフライン状態でストレージを無理やりフォーマットしてしまうと、Appleの認証サーバーと通信できず、アクティベーションロックの解除要求がサーバーへ届きません。結果として、外見上は初期化されたように見えても、次回オンライン接続時にロックがかかり、再セットアップが不可能になります。初期化作業は必ず安定したWi-Fiまたは有線LAN環境に接続した状態で完結させる必要があります。