栂池自然園の最大の魅力は、季節の移ろいとともに刻一刻と表情を変えるダイナミックな景観にある。なかでも訪れる旅行者を魅了してやまないのが、初夏を告げる「水芭蕉」と、秋の深まりを彩る「三段紅葉」の2大シーズンだ。
まず、初夏を代表する栂池自然園の水芭蕉の時期は、例年6月中旬から7月上旬にかけてピークを迎える。残雪が残る白馬連峰の白銀と、園内随一の規模を誇る「みずばしょう湿原」を埋め尽くす数十万株の純白の花々、そして芽吹いたばかりの鮮やかな緑が織りなすコントラストは、まさに天空の楽園と呼ぶにふさわしい。この時期は雪解け水が小川をせせらぎ、ミズバショウに続いてリュウキンカの黄色い花が彩りを添える。
対して、全国から山岳ファンが集結するのが秋の栂池自然園の紅葉の見頃だ。例年のピークは9月下旬から10月上旬である。栂池の紅葉が「別格」と評される理由は、北アルプス山頂に降り積もる初冠雪の「白」、ダケカンバの黄色やナナカマドの燃えるような「赤」、そして中腹の針葉樹が保つ「緑」が縦方向に重なり合う「三段紅葉」が出現するためだ。高層湿原全体が黄金色に染まる草紅葉(くさもみじ)の絨毯の上を歩く体験は、この時期だけの特権と言える。