大和ミュージアムの主役であり、エントランスを抜けた「大和広場」で来訪者を圧倒するのが、全長26.3メートルを誇る「1/10戦艦大和」です。この巨艦モデルは単なる精巧な模型ではありません。建造当時の極秘図面、断片的な写真記録、さらには海底探索で得られた水中映像から徹底的な時代考証を重ね、可能な限り忠実に往時のフォルムを蘇らせた学術的造形物です。
見逃してはならないのが、先端部に見られる「バルバス・バウ(球状艦首)」と呼ばれる形状です。水の抵抗を極限まで低減させるこの流体力学技術は、戦後日本の民間造船業へと応用され、世界一の商船建造国へと駆け上がる原動力となりました。また、46cm主砲や木甲板の木目、微細な手すりに至るまで、熟練の職人技術が細部に宿っています。
大和広場を取り囲む通路はスロープ構造になっており、1階フロアから艦底を見上げ、2階・3階へと上りながら甲板や艦橋を俯瞰できるよう計算されています。この立体的な動線こそが、模型の巨大さと精緻さを体感するための最大の仕掛けです。
さらに奥の「大型資料展示室」には、戦艦大和のスケール感にとどまらない緊迫した実物遺産群が並びます。零式艦上戦闘機六二型の実機をはじめ、特殊潜航艇「海龍」の試作艇、人間魚雷「回天」十型(試作型)などの実物兵器が展示され、戦争の悲哀と極限下における技術開発の現実を冷徹に伝えています。