かぐや姫ミュージアムの最大の特徴は、「竹取物語 かぐや姫の里」としての富士市に伝わる特異な伝承を主軸に据えている点です。
日本全国に広がる『竹取物語』の多くでは、かぐや姫は八月十五夜の満月の夜に天人たちとともに月へと帰っていきます。しかし、富士山南麓の富士市に古くから伝わる『富士山縁起』や民話では、かぐや姫は月ではなく「富士山の山頂」へと登り、富士の神(浅間大菩薩)となって人々を見守り続けたと記されています。展示室1「かぐや姫と富士山」では、この知られざる伝承の成り立ちを、古文書の複写や美しい影絵アニメーション、立体的なジオラマを通じて分かりやすく紐解いています。
展示室2「富士山と生きる」では視点が民俗・産業史へと広がり、富士山の豊富な湧水と森林資源を背景に発展した「紙のまち・富士市」の手漉き和紙から近代製紙業への歴史的変遷、富士川舟運や東海道を往来した旅人の暮らしが克明に再現されています。単なる民話の紹介にとどまらず、地域の風土と信仰がどのように結びついてきたのかを論理的に学べる構成です。
さらに、年間を通じて開催される企画展では、富士山麓の考古学出土品や地域の古写真展、伝統工芸に焦点を当てた特別展示が定期的に入れ替えられ、リピーターを飽きさせない工夫が凝らされています。