ニキビ治療薬として知られるイオウ製剤や過酸化ベンゾイル、サリチル酸配合の化粧水を使っているにもかかわらず、顔のブツブツが一向に引かない場合、まず疑うべきは「根本的な病態の不一致」である。一般的なニキビは毛穴の閉塞とアクネ菌の増殖によって引き起こされるが、顔に生じる突起状のトラブルは多種多様な因子が複雑に絡み合っている。
皮膚科学において、毛穴に角栓が詰まった初期状態は「コメド(面皰)」と呼ばれる。しかし、臨床現場ではコメドと他の非炎症性・微小炎症性丘疹の違いを見落としたまま、不適切なアプローチを続けて肌を傷めるユーザーが非常に多い。例えば、痛みを伴わない湿疹様の発疹や、光の加減でのみ浮き出る細かな凹凸は、アクネ菌の活動とは無関係に生じていることが大半を占める。
皮膚の角化サイクル(ターンオーバー)の乱れ、常在真菌であるマラセチアの異常増殖、皮脂腺や汗腺の器質的変化、さらには長期間のスキンケア摩擦や外用薬の誤用など、顔のブツブツの原因は多岐にわたる。これらをひとまとめに「ニキビ」として処理しようとすることこそが、長期にわたる肌荒れスパイラルを生み出す最大の元凶となっている。