サイコパシー研究の世界的権威であるカナダの心理学者ロバート・D・ヘアは、厳密な診断ツール「PCL-R(サイコパシー・チェックリスト)」を開発し、犯罪心理学に科学的な指標をもたらした。ヘアの研究は、サイコパスが言語や視覚的刺激から「意味」を理解できても、それに付随する「感情的な重み」を感じ取ることができないという決定的な欠陥を証明した。
ドラマ『マインドハンター』のモデルにもなったFBI行動分析課の捜査官たちは、凶悪犯罪者の取り調べやプロファイリングにおいて、こうした認知的特性を徹底的に利用してきた。現場写真や被害者の遺留品を容疑者に見せた際、一般人であれば顔を背けたり動揺を示したりする場面でも、真のサイコパスは脈拍一つ乱さず、冷徹に状況を観察し続ける。視覚的な刺激に対する瞳孔の反応や注視点の固定位置は、捜査官が相手の仮面を剥ぎ取るための決定的な手掛かりとなってきた。