日常の会話では混同されがちですが、自動車事故の法的・実務的な分類において「自損事故」と「物損事故」には明確な主従関係が存在します。交通事故は大きく分けて人の死傷を伴う「人身事故」と、財物の損壊のみにとどまる「物損事故」の2つに大別されます。このうち、衝突する相手車両や歩行者が存在せず、運転者側の単独行動によって発生した物損事故のことを一般に自損事故(単独事故)と呼びます。
大手損害保険各社や警察庁の統計基準においても、電柱やガードレールへの衝突、カーブを曲がりきれずに路外へ転落する事故、あるいはブロック塀への接触などはすべて物損事故の内包概念として処理されます。最大の特徴は、「事故発生における運転者の過失割合が100%」となる点です。
相手が存在する二者間事故であれば、双方の過失割合(例:80対20など)に応じて損害賠償額が相殺されます。しかし自損事故では相殺の余地が一切なく、発生したすべての物的損害を自己責任として清算しなければなりません。まずはこの過失割合100%という厳然たる前提を認識しておく必要があります。