戸田恵子さんがアンパンマンという役にこれほどの情熱を注ぎ続ける根底には、2013年に94歳で逝去した原作者・やなせたかし氏との深い信頼関係があります。
生前、やなせ氏は戸田さんに対して「僕が死んでもアンパンマンは終わらない。だから、あんたが死ぬまでアンパンマンをやってくれ」と言い遺したという逸話があります。単なるアニメの配役を超えて、やなせ氏の哲学である「本当の正義とは、お腹を空かせている人にパンを差し出すこと」「傷つくことなしに正義は行えない」という思想を最も理解し、体現するパートナーとして認められていた証です。
2011年の東日本大震災の際、戸田さんは被災地の子どもたちに向けていち早くラジオやメッセージでアンパンマンの声を届け続けました。やなせ氏から託された「生きる喜びを伝える使命」を誰よりも重く受け止めているからこそ、安易な降板や交代は本人の選択肢に存在しないのです。