「ダルマイヤーのコーヒーは本当に美味しいのか」という問いに対し、ヨーロッパのカフェカルチャーを知る専門家や熱心な愛好家は一様に「酸味とアロマの設計思想が一般的な深煎り豆とは根本的に異なる」と語ります。1900年前後にバイエルン王室御用達の栄誉を受け、後にドイツ皇帝の食卓も支えたアロイス・ダルマイヤーは、単なる苦味の強さではなく「何杯飲んでも身体に負担をかけない洗練された軽やかさ」を追求してきました。
その思想が凝縮された代表作が、1964年に誕生した名作ブレンド「プロドモ(prodomo)」です。標高の高いエチオピア南部シダモ地方やハラー地方の高品質なアラビカ種を主軸とし、ダルマイヤー独自の高度な精製・焙煎プロセスを採用しています。この技術によって、コーヒー豆に含まれる刺激性の強い成分(刺激性タンニンや刺激性のワックス分など)をあらかじめ低減させています。
一般的なダークローストが提供する「ガツンとくる重厚な苦味」を想像して口にすると、「思ったより軽やかでフルーティー」「澄み切った飲み口」という印象を受けるはずです。後味に雑味や不快な渋みが残らず、上質な紅茶を思わせるアロマが鼻腔を抜けていく体験こそが、欧州貴族を魅了し続けてきたダルマイヤーの本質といえます。