インターネット上の掲示板やSNSで最も多くの憶測を呼んでいるのが、中村主水 最期の描かれ方と、中村主水 死亡の真相に関する議論です。結論から言えば、中村主水の最期には「映画における劇的な死」と「シリーズ全体における永遠の旅立ち」という2つの異なる公式展開が存在します。
1996年劇場版『主水死す』で描かれた壮絶な殉職
必殺シリーズの劇場公開20周年記念として制作された映画『主水死す』では、タイトル通り主水の死が明確に描かれました。かつての愛人・お千代と宿敵・権の四郎との因縁に巻き込まれた主水は、燃え盛る屋敷の中で敵の凶刃を受け、大爆発とともに瓦礫の下へと消え去ります。
このラストシーンは、長年主水を演じ続けてきた藤田まこと氏自身の「主水にきちんとした幕引きを用意したい」という強い意志によって制作されました。当時、劇場でリアルタイムに観賞した観客に計り知れない衝撃を与え、ひとつの時代が完全に終焉を迎えたと誰もが確信した瞬間でした。
復活と永遠の別れ|『必殺仕事人2010』中村主水が残したメッセージ
しかし、必殺シリーズの火は消えませんでした。2007年のスペシャルドラマ、そして2009年の連続ドラマにおいて、東山紀之氏演じる渡辺小五郎をメインに据えた新シリーズが始動。藤田まこと氏演じる主水は、若き仕事人たちを温かく、時に厳しく見守る大ベテランの相談役として奇跡の復活を果たします。
ところが2010年2月、藤田まこと氏が食道がんのため76歳で急逝。撮影途中だった特番『必殺仕事人2010 中村主水』において、制作陣は主水を劇中で死亡させる道を選びませんでした。過去のアーカイヴ映像や代役による後ろ姿を巧みに織り交ぜながら、「主水は江戸を離れ、上方(金沢)の西方へ御手伝い普請として旅立った」という形で物語を締めくくったのです。
劇中で命を散らすのではなく、どこかの空の下で今も飄々と生き続けている――。制作陣が藤田まこと氏に捧げたこの最大限のリスペクトこそが、ファンの間で語り継がれる「もうひとつの真相」です。