東西トレセンのパワーバランスを語るうえで、現代競馬においてトレセン以上に重要な役割を果たす「外厩(がいきゅう)施設」の存在を外すことはできません。特にノーザンファームグループが擁する二大拠点、「ノーザンファーム天栄(福島県)」と「ノーザンファームしがらき(滋賀県)」の競争は、美浦復活の強力な呼び水となりました。
美浦のトレセン施設がまだ劣勢だった時代から、天栄は独自の急勾配坂路(高低差36メートル超)やトレッドミルを完備し、美浦所属馬を外厩主導で極限まで鍛え上げるシステムを構築。イクイノックスやグランアレグリア、クロノジェネシスをはじめとする歴史的名馬の快進撃を支え、「美浦トレセンのハンデを外厩が補う」構図を完成させました。
新坂路の完成以降は、天栄で培われた基礎体力と美浦トレセンでの最終追込調教が高いシナジーを発揮。西の「しがらき×栗東」に対し、東の「天栄×美浦」という強固な育成パイプラインが確立され、育成力における東西の差は完全に消滅しました。