本作を語る上で欠かせないのが、実力派俳優陣による鬼気迫る演技合戦です。特に、狂気と色気を同時に放ち続けたキャスト陣の熱演は、今なお高く評価されています。
松本梓を演じた夏川結衣は、良き妻・良き母でありながら、過去の罪悪感と隣人の妖しい誘惑に心を揺さぶられる繊細な心理描写を見事に体現しました。恐怖に怯えながらも、最終局面で我が子を守るために覚醒する母の強さは圧巻の一言です。
そして、日本のドラマ史に残る怪演と評されたのが北村一輝です。妖艶な眼差し、人間離れした無機質な冷酷さ、そして肉体に無数の蟲を宿す異形の存在を見事に演じ切り、その圧倒的な存在感はお茶の間に強烈なトラウマを刻み込みました。2020年代以降も実力派バイプレイヤー・主演俳優として第一線を走り続ける彼の原点とも言える名演です。
また、妻への猜疑心に苛まれながらも家族のために立ち上がる夫・欧太郎役のユースケ・サンタマリア、不気味な隣人を演じた萬田久子、草薙幸二郎、高橋ひとみ、いかりや長介(遺作の一つ)ら重厚な脇役陣が、作品の緊迫感を極限まで高めています。