屈折率とは?光が曲がる理由とメガネ選びの失敗を防ぐ基礎知識

屈折率とは?光が曲がる理由とメガネ選びの失敗を防ぐ基礎知識

屈折率とは?光が曲がる理由とメガネ選びの失敗を防ぐ基礎知識の真相について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。

インターネット上のアイウェア選びに関する情報では、「屈折率は高ければ高いほど上位互換であり、予算が許すなら最高グレードの1.74や1.76を選ぶのが正解」という誤った言説が散見されます。しかし、光学性能の世界において屈折率の向上には必ず物理的なトレードオフが伴うという事実を忘れてはなりません。

その筆頭が「アッベ数(Abbe number)」の低下です。 アッベ数とは、ドイツの物理学者エルンスト・アッベにちなんで名付けられた指標で、「光の分散(色にじみ)の少なさ」を表します。数値が大きければ大きいほど、波長による屈折率の差が小さく、視界の周辺部で物が色ズレを起こさずクリアに見えます。

物理的な大原則として、「物質の屈折率が高くなるほど、アッベ数は低下する」という反比例の壁が存在します。

  • 屈折率1.50(標準):アッベ数 約58(色にじみが極めて少なく、非常に鮮明な見え心地)
  • 屈折率1.60(薄型):アッベ数 約41〜42(光学性能と薄さのバランスが最も黄金比に近い)
  • 屈折率1.67(超薄型):アッベ数 約31〜32(黄色と青の色収差がやや生じ始める)
  • 屈折率1.74(極薄型):アッベ数 約31〜33(周辺部に視線を走らせた際、輪郭に虹色のチラつきを感じる人がいる)

このアッベ数の低下を軽視して、弱度数(-1.00D〜-2.50D程度)の人が見栄を張って1.74の超高屈折レンズを選んでしまうと、レンズの厚みはコンマ数ミリしか変わらないにもかかわらず、色収差による視界のチラつきやコントラスト低下、夜間運転時の視界不良という実害だけを被ることになります。

さらに、もう一つの見落とされがちな盲点が「レンズの透過率と反射」です。屈折率が高くなると、ガラスやプラスチックの表面で光が跳ね返される反射率も上昇します(フレネルの反射則)。適切なマルチ反射防止コーティングが施されていない安価な超高屈折レンズは、ギラつきや映り込みが発生しやすく、かえって視覚的な快適性を損ねる原因となります。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。