時計の針をあの日の夕刻へと戻す。会場となった明治神宮外苑は、デザインやアートの可能性を祝う大勢の家族連れや若者たちで熱気に満ちあふれていた。その渦中で惨劇は起きた。「TOKYO DESIGN WEEK 2016」に出展された木製の大型遊具作品。出展したのは日本工業大学の学生チームだった。ジャングルジム状に組み上げられた木枠の内部には、装飾およびクッション材として大量のおがくずが敷き詰められていた。
日没に伴い、作品内部を照らす目的で投光器が設置される。しかし、そこに用いられたのは強烈な熱を発する白熱電球だった。乾燥した大量の木くず、密閉された木枠、そして至近距離で高温を照射し続ける光源。自然発火を誘発するための危険な条件が最悪の形で揃ってしまった。一瞬の着火から炎は瞬く間に駆け巡り、遊具の中で遊んでいた男児の逃げ道を完全に塞いだ。現場は歓声から一転、絶叫と悲鳴が錯乱する地獄絵図と化していった。