日本野鳥の会の名前がお茶の間に広く浸透した最大のきっかけは、NHK紅白歌合戦の客席投票集計です。1981年(第32回)から2002年(第53回)まで長きにわたり、双眼鏡を構えたスーツ姿の会員たちが麻布十番・NHKホールの2階席・3階席を鋭い視線で見つめ、手元の数取器(カウンター)をカチカチと高速で鳴らす姿は、年末の風物詩として定着していました。
そもそも「日本野鳥の会 紅白歌合戦 なぜ」という疑問の背景には、鳥類調査における専門的な計数能力があります。渡り鳥の飛来調査や干潟に群がる数千羽の水鳥を観察する際、会員たちは視界を碁盤の目状に分割し、動く鳥を数羽・数十羽単位のブロックで瞬時に数え上げる訓練を積んでいます。この「日本野鳥の会のカウンター数え方」とも言える高度な動体視力と空間把握能力に着目したNHKの番組スタッフが、生放送中の限られた時間内で厳正な客席集計を行うパートナーとして白羽の矢を立てたのが始まりです。
当時の関係者の証言や手記によると、紅白歌合戦の会場では座席配置図をもとにホールを細かくエリア分けし、1人が担当する座席ブロックを限定してダブルチェック体制で計数を行っていました。「一瞬の狂いも許されない生放送の重圧の中で、渡り鳥のカウント技術を応用した」というエピソードは、単なるバラエティ演出を超えた技術的信頼の証だったと言えます。2003年以降は電子投票やデジタル集計の導入によって紅白の舞台での定期出演は終了しましたが、現在でも精密な計数の代名詞として語り継がれています。