ネット上で「村上開新堂は紹介がないと買えない」と囁かれる最大の要因は、東京・麹町にある「村上開新堂」との混同にあります。
東京・麹町の店舗は、創業以来の顧客名簿に基づく「完全紹介制(一見さんお断り)」を現在も厳格に貫いています。既存顧客からの紹介枠がなければ予約すら受け付けてもらえず、入手難易度は日本最高峰と言っても過言ではありません。
一方、京都・寺町二条の村上開新堂は紹介制を採っていません。初めて訪れた旅行者でも、電話をかけた一般の顧客でも、順番を待てば誰でも平等に予約・購入が可能です。この決定的な違いを把握していない読者が、「東京のルール=京都のルール」と誤認してしまっているケースが後を絶ちません。
歴史を紐解くと、両店は親戚関係にあります。明治初期、宮内省(現・宮内庁)大膳職で洋菓子づくりを修めた村上光保氏が東京で創業。その叔父にあたる村上清太郎氏が製菓技術を学び、明治7年に京都の地で創業したのが京都・村上開新堂です。創業のルーツと職人技の精神は共有しつつも、現在は完全に独立した別法人・別経営として歩み続けています。缶のデザインやクッキーのフレーバー構成、焼き菓子のラインナップもそれぞれ独自の進化を遂げています。