『風の詩を聴かせて』の中で、タイトルにも象徴される「風」という言葉。それは、目には見えないけれど確実にそこに存在する大切な人の気配であり、時の流れや運命の優しさを表している。愛する者を失った絶望の淵にあっても、頬を撫でる風の中に確かに受け継がれる温もりがあるのだと歌いかける。
サザンオールスターズで見せるダイナミックで力強いボーカルとは打って変わり、この曲における桑田の歌声はどこまでも繊細だ。掠れた息遣いの一滴までが詩となり、聴く者の心へダイレクトに浸透する。飾りのない言葉とアコースティック・バラードの要素が見事に融合した、まさに真の芸術品と言えるだろう。